2022/10/09 17:08

農業法人を辞めたは良いけど、収入ゼロではどうしようも無い。

なので手持ちの資格を活かして一旦近場で普通の会社員をやりながら、役所の農林課へ通う日々になりました。


農林水産省の"農業次世代人材投資事業"と言うのがあって、その上で長野県には"新規就農里親制度"と言うものがあります。

制度の詳細は割愛しますが、この制度を利用すれば独立後も5年間それなりの補助金を受ける事が出来ます。そりゃあ助かりますよ。利用出来れば。


でも、私は当時既に49歳に手が届く寸前でした。


この制度は2年間里親の元での修行を経て、満50歳までに独立する事が求められました。

なので、この時点で私はアウトだったのです。

役所の担当の方も新規就農したいと言う私の主張などどうでも良いらしく、ほぼ門前払いの雰囲気。

移住相談会の場や銀座NAGANOではあれほど移住も農業も勧めていたのに、既に自力で移住してしまった私には非常に冷たい。全く親身に話しを聞いてくれない。

要は税金落としてくれる人を増やしたいだけだったのだなあと強く感じてしまいました。


しかし後が無い私はここで挫ける訳にはいかないのでしつこく農林課とやり取りし、県の担当者を紹介して貰える事になりました。

で、日時を決めて事前に作成する必要があると言う書類を貰い夜な夜な作成し、いよいよ面会当日です。

案の定と言うかなんと言うか、結局作成した書類など殆ど見もせずに、年齢だけでここでも門前払いでしたよ、はい。


制度の設計上年齢制限があって、その設計したのは国たがら、、、と言うような言い訳にも何にもならない感じですよ。

そんなの承知の上で、新規就農するにはどうしたら良いか相談したかったのに。当然何らかの補助も目当てではありましたけど、、、


もう行政なんて当てにしません。

自力でなんとかします。してみせます。


で、最後の最後に農林課の方が須坂市近辺でもハローワークで農家が求人出してると言う一言をくれました。


ハローワークに赴いて調べてみると、須坂市近隣で2軒だけ果樹農家の求人がありました。

求人と言っても、要は最低時給のアルバイトなんですけどね。

1軒はやはり年齢で断られましたが、なんともう1軒が面接してくれる事になりました。

面接時には移住者であり農業経験はほぼないこと、そして独立希望であるため働きながら果樹栽培を教えて貰いたいことをしっかり伝え、OKをいただけました。


そして、2019年秋からその農家さんで働き出しました。


約2年間でりんごやぶどうの栽培、そして各種野菜などについて学ばせて貰いました。

トラクターやスプレイヤー、乗用草刈機、マメトラなどの農機具や、小型のユンボなどの重機の扱い方も習い、ぶどう棚の修繕方法などの知識も得ることが出来ました。

また、その農家さんが持っている田んぼや畑も無償でお借りして、米や野菜の栽培を開始しました。

田んぼは1反が一枚だけだったので、すぐ隣の遊休田も追加でお借りして、計2反弱で頑張っています。


でも、あくまでも果樹農家で独立する事が目的です。


これまでの期間も知り合いになった人達にぶどうやりんごで独立したいと声を掛け続けていましたが、なかなか畑を借りる事が出来ません。

そりゃ、都会から移住したてのどこの馬の骨とも知らない輩に簡単に畑など貸しませんよね。

きちんと管理出来るかもわからないし、仮に草ボーボーの放置畑になってしまうと、周りから苦情を受けるのは畑の持ち主な訳ですし。


でも、田んぼや畑の作業を周りに迷惑をかけない様に1年間黙々と頑張っていたら、徐々に地域の方や農業委員の方から空き畑の紹介をいただける様になってきました。

ただし、りんごばかりで肝心のぶどうの畑は出てきません。

また、1反から2反くらいの畑が主で場所もバラバラ。小さな村なのでバラバラでも移動は可能なのですが、出来ればせめて近場で集めたいのが本音です。


もともと52歳になる年には独立すると言う目標を立てていたのですが、そろそろ2年が経過しそうな2021年の秋、少々曰く付きではあったのですが一町分以上の纏まったりんご畑の紹介をいただきました。

先輩農家達に相談すると当然その畑の事は知っていて、それまての借主から様々な愚痴を散々聞かされていた様で、口を揃えて「あの畑はやめておいたほうが良いんじゃないか」と言われていました。


しかし、纏まった畑はそう簡単に出てこないし、いずれにしてもオーナーさんにお会いしたいと言う事を農業委員の方に伝えて、お会いする機会をいただきました。

農業委員の方もそのオーナーさんの事は噂で聞いていたらしく事前に色々とアドバイスをくれましたが、実際にオーナーさんとお会いしてみると噂話はあくまでも噂話だったのだと痛感させられました。

もうメチャクチャ良い方で、その場でお借りすると回答してしまいました。


そうして、2022年からりんご農家として独立する事が出来たのです。

ちなみに、まだぶどうの畑も諦めてはいませんが、既にりんごが一町分以上あるし、若木の畑ですが1反はぶどうもあるので、後はシャインマスカットが植わっている畑が2反もあれば十分かなあと思っています。


これで、米や野菜は無農薬の自家栽培で食うに困らないし、数年頑張ればりんごやぶどうの売上でお金にも然程困らない状況になります。

いや、そうなれば良いなあ、、、と。